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家賃3.8万円

死ぬまで、やります

2019-01-01から1年間の記事一覧

小説002 / 七話

投稿した後、これと言ってやる事もなかったので友達の家に遊びに行くことにした。僕の家から徒歩十分の位置にあるけれど、歩くのは面倒なので原付で向かう。晴れた六月の気候はとても過しやすく、このまま夏が来なければ良いのに、と思う。もしくは夏を無視…

小説002 / 六話

参加のボタンを押すと、現在の参加予定者の数と名前が表示された。 ハンドルネームはそれぞれBrooklyn、向陽、撃鉄丸、エアコン、そして僕こと三八〇の5名だ。性別は分からないけれど、名前のセンスからは全員が男性な気がした。 次に掲示板をのぞいてみる…

小説002 / 五話

あくまでぼくは一般的な会社の勤め人なので、お金にならない事だけに時間を割くなんてできない。 だけれど、あくまで一般的な勤め人らしく、暇な時間も作れたりするし、言ってしまえば何かアクションを起こそうとしない限り予定は埋まらない。 何もない休日…

小説003 / 三話

いつの間にか、空を見ていた。前日の雨に打たれた公園の地面はぬかるんでいて、彼女から借りた服が土によって汚れている。隣を見ると、高校生の彼も仰向けに大の字になって空を仰いでいる。彼はいつの間にかブレザーを脱ぎ捨ていた。「あんたも、俺とおんな…

小説003 / 二話

普段の生活で、塀を飛び越え、知らぬ人が住む家の屋根を伝い、風を切りながら空を駆ける、何てことはしない。あくまで僕は、一般市民として生活をしている。体を使えばその分、対価として寿命が減るかもしれない、という臆病な恐怖があるのも否定はできない…

小説003 / 一話

塀を飛び越え、知らぬ人が住む家の屋根を伝い、風を切りながら空を駆ける。いつもはこんな、人ならざる行動は抑えてはいるが、しかし今日に限ってはそんな余裕は無い。 急がなくては。 最寄りの駅からバスで二十分、そこから更に普通の人が普通に歩いて十五…

小説002 / 四話

くだらない自分語りをしてしまうくらいには、今のぼくは暇だ。 いま、この一時が暇なわけではなくて、いまこの生活自体に暇を感じていた。それは刺激を求める若者のそれで、こんなものはもっと歳をとればなくなる感情だとも思う。そうは思っても、暇だという…

小説002 / 三話

現代人には、好きな人がいない。 そんな売り文句が流行っていて、ぼくもその中の一人だ。 けれど、そう言う著者の大半は恋愛における好きな人のことを言っていて、ぼくの場合はもう、恋慕なんて関係なしに好きな人がいない。 いや、いるのかもしれない。自分…

小説002 / 二話

駅前で路上ライブを行う少年がいた。 -さよならって言えたなら、少しは楽になったかな。 音楽とは素晴らしいものだ。 言葉にしただけなら、ただ恥ずかしくなるものでも音に乗せて歌えば伝えられる気がする。とは言っても、ぼくには音楽の才能はなかったから…

小説002 / 一話

政令指定都市とは言うが、夜の九時でも両手を広げて歩ける程に人は歩いていない。これくらい人が少ないなら、この街でなら唯一の存在になれるだろうか。 駅前よりは人が密集している三両編成の電車に乗り込み、四人掛けの椅子に座った。目の前の高校生のカッ…

小説001 / 一話

小説001。 俺は英雄なんかじゃない。ただ、ヒトとは違うところがあっただけ。 幼い頃、俺は親父からよくそう言われていた。 それは周りの人たちが、親父のことを見るたびに英雄だとか、ヒーローだとか、そう言っているのを聞いた日の夜の定型文みたいなもの…