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死ぬまで、やります

小説002 / 四話

くだらない自分語りをしてしまうくらいには、今のぼくは暇だ。

いま、この一時が暇なわけではなくて、いまこの生活自体に暇を感じていた。それは刺激を求める若者のそれで、こんなものはもっと歳をとればなくなる感情だとも思う。そうは思っても、暇だというのは間違いなく事実で、ぼくは暇を潰せる何かを――新しい何かを求めていた。

とはいっても、新しい何かを始める労力を嫌うぼくに出来ることといえば、手元にあるスマートフォンで知らない世界のことを調べることくらいだ。

 

ふと、SNSで流れてきたまとめサイトの一つの記事が目に留まった。

(今、流行りのスマートフォンアプリ「Ark」その実態に迫ってみた!) 

 

なんとなく、その記事に目を通してみる。

その「Ark」というアプリでは、ある場所がランダムで指定されいて、その場所では指定された時間に何かが起きる、らしい。事前にその何かに参加するには自身のプロフィールを登録する必要があり、その時間までに掲示板で情報交換ができるというもの。

その場所で起こる事をイベントと呼ぶらしいが、その時間になってみないとイベントの内容が分からない事、そもそも何も起こらない事なんてザラにある事を踏まえた上でも、興味深い現象が起きているらしい。

 

(「Ark」が予知? 殺人事件の実態に迫る!)

(模倣犯によるもの?  爆発するドラム缶)

(辺り一帯が停電!  人為的なものではないとの事)

(花火大会、一斉噴射! 死傷者は無し)

 

他にも何件あるらしいが、それがどれも「Ark」によるイベント発生地点で起きた事らしい。

 

まったくもって、まともな記事ではないと思う。本当にアプリの予定通りに何かが起きたなんて信じることはできないし、そんなものに時間を費やしている人がいることすら阿呆臭く思えるけれど、興味をそそられはした。

 

暇つぶしになるのなら。

 

アプリをスマートフォンに入れるのはそんな手間でもないし、実際に「Ark」で遊ぶのは後で考えればいい。気が向いたらやろう。