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家賃3.8万円

死ぬまで、やります

小説002 / 五話

あくまでぼくは一般的な会社の勤め人なので、お金にならない事だけに時間を割くなんてできない。

だけれど、あくまで一般的な勤め人らしく、暇な時間も作れたりするし、言ってしまえば何かアクションを起こそうとしない限り予定は埋まらない。

 

何もない休日がやってきた。

特にすることも無いので、溜まった洗濯物を洗った後、昼食をとりつつArkを起動する。

GPSの使用許可を求められた以外には自分の情報を求められる事も特になかった。

ニックネームだけは必要で、深く考えず年収を漢数字にし、三八〇と入力すると

「thank you My Friend . Welcome New World!」

と表示され、なんだかよくわからないが歓迎してくれているようだ。

次に、ぼくの携帯の位置情報を中心として、三十キロ圏内のマップが表示された。

マップ上には何個か黄色いピンが刺さっていて、右上のメニューマークをタッチすると自分の情報、書き込み履歴、地名の検索、設定の変更と表示されるようだ。使い方の説明は、探しても見当たらない。

 

仕方がないので、適当に使ってみる事にした。

 

取り敢えず現在地から一番近い黄色いピンをタッチすると、そのピンから吹き出し口が表示され、住所と日付と時刻が表示された。他にも参加の有無の選択、掲示板への書き込みが出来るようだ。

日付は三日後で、時刻も仕事帰りに駅から歩いて寄れる位置にあるけれど、なにが起こるかも分からないのに参加を表明できない……とは思っても、どうせニックネームしか登録していないのだし、ぼく個人として誰かの評価を下げる事もないだろう。

 

参加する事にしておいて、気が向いたら行けばいい。

ぼくはそう軽く考え、参加のボタンを押した。