SNSは恋人の名前を叫ぶためにある / 感動のスイッチ
最近、SNSで恋人の名前を叫ぶ人を見かけなくなった。
不特定多数に向けたツールだけど、一番最初に伝わるのは最初から繋がっている人達なのだから、自分が付き合っている人の名前を叫ぶべきであると、俺は思う。
そういう考えを持っているから、名前を叫ばない人は「自分はこういう思考を持ち、こういう活動をしているけど、付き合ってる人はいるかいないか教えないよ、もしかしたらいないかもよ? 寄ってきなよ」と考えているように思えてしまう。
(もとよりsnsはそんな場所ではない)
という、どうでも良い話である。
恋人ができたら、生活は変わる。
けど、日常は劇的には変わらない。
変わった生活が日常になるだけ。
人を感動させることのできる作品を作り出せる人は、他人の感動のスイッチを押せる能力を持っている人。
感動のスイッチを押すということは、日常を生きていて誰もが持つ共通項が与えた感情を引き出すということ。
普遍的で不変的な日常でも、何かにつまずいて、それを蹴り飛ばして他人にぶつけられる脚力を持っていること。
羨ましい限りだ。
俺は仙台出身で、震災から少し経ったあと、その時はまだ生きていた爺ちゃんに会うために仙台に行った。
ガソリンスタンドはどこも閉まっていて、橋は無くなっていて、浸水の爪痕が残っていた。
そして、俺の中で一番強烈だったのは、瓦が散乱していた街を見た時の「本当に地震はあったんだ」という感想。
でも、それは今はもう、そんなことがあって、みんな忘れないようにテレビで取り上げているんだっていう日常になっている。
震災を取り上げた番組や、歌なんかは感動を狙っているのではないかと思われがちだし、感動を狙うということは人の興味を惹こうということ。
もちろん、ただ、作品にしたかったという人も沢山いる。
仮に狙っていたとして、それの何が悪いのだろうという気持ちと、それは嫌だという気持ちがある。
どっちつかずの俺は多分、どこにも行けないんだろうなとも思う。
体調は良くなった。
どこかに行こう。
焚きつけるのはいいが、消えるまでくべ続けろ
地位や立場というのは、持つだけで発言に力を持つことがある。
頑張って欲しいというだけで人の心に火をつけられるのは、それはもう素晴らしい能力だけど。焚きつけたのなら消える最後まで責任を持って欲しい。
気にかけるだけでもいいからさ。
以下、近状。
アダルトビデオをスマートフォンで買い、視聴できる今の時代。
全てが指先だけで完結するじゃないか、嗚呼、素晴らしき性生活。
欲しいものをお気に入りに入れておいて、後で精査してから買おうと思っていたのに、入ってたのはカーゴの中でした。
間違えた指先、止まらない性欲。
一度で二十作品くらいのアダルトビデオを買う羽目に。
ハメ?
seek me(私を求めて)
seek meという、新潟で活動しているバンドがいる。
初めて見てから時間が経ったけど、最近になってから印象が変わった。
明るくパンクな音楽をしているけど、十代が終わる事を惜しむような寂しさと言うか、影の一面もあるバンドだなって思うようになった。
最近は本当に良くって、毎回の曲で聞こえてくる歌に感動を覚えるまでになった。
最近は忙しいけど、対バンじゃなくても是非に観に行きたい。
みんなも見に行こう、本当に良いんだよ、彼ら。
最初の印象というか、初めて対バンする前にバンド関係者から聞いていた話は「暴れてライブハウスの壁に穴を開けた高校生バンド」だったから、トゲのある人たちなのかと、勝手な想像をしていた。
実際に会ってみると、良い人たちだった。
なんなら、俺のバンドのメンバーの楽器ケースやエフェクターケースにseek meのパスが貼ってある。
求めちまってたんだなあ、なんてな。
閑話休題。
世の中はコロナウイルスの話題で持ちきりだけど、俺の生活は変わらない。
強いて言えば、Twitterのタイムラインがウイルスに侵されたように、その文字をたくさん見るようになった。
何を言っても燃え上がる火種になる話題で、自分如きじゃ何を言っても話題にならないと思い、でも誰かから何かを言われるのが怖いから、静観を決め込む。
流行病への捉え方は人それぞれだから、みんな総じて誰かの反感を持つような意見を持ってると思う。
まあ、何が言いたいかというと、体調は崩さないほうがいいってこと、それだけっす。
それは寒い日の朝
触発されて書く。
寒くなった。
まあ、書いたところで読むのは、つっくん、きなり君、よしきくらいかな(もしかしたら、しゅんちゃんと、ゆーとも)
そう考えれば、不特定多数に向けて公開されるブログなのに、内輪向けみたいな気分の内容になるか。
名前を出してしまう時点で、リテラシーを考えろと言われてしまいそうなので、全国のつっくん、きなり君、よしき(もしかしたら、しゅんちゃんと、ゆーと) に向けて書いたことにする。
最近は、一ヶ月に一度くらいのペースで体を壊していて、みんなのおれの印象そのままであろう体調を保ってるけど冗談じゃ無い。
ここまで体調を崩すのは珍しい。
まあ、そんな体ぶっ壊しな日々だけど、月にライブは五本くらいしてる。
いつまでこんな生活ができるのか分からないけど、まあ、いけるとこまでやる。
何か、目標があれば、もう少し変わるだろうかね。
PS.中山、阪神、中京の開幕週は負けました。
小説002 / 七話
投稿した後、これと言ってやる事もなかったので友達の家に遊びに行くことにした。僕の家から徒歩十分の位置にあるけれど、歩くのは面倒なので原付で向かう。晴れた六月の気候はとても過しやすく、このまま夏が来なければ良いのに、と思う。もしくは夏を無視して冬になれば良い。雪は積もるけれど、あの空気は生きている感覚を僕に与えてくれる。
なんて、つまらないことを考えているうちに、7階建てのアパートに着く。
この前、一緒に飲んでいたあいつが住むこのアパートは周りに比べて(もちろん、僕の住むところよりも、ずっと)新しく見える。あいつと飲む時の代金は全て僕が払っている。なぜなら、ニートだからだ。働く気が無いのだ。それなのに、僕よりもお金持ちだ。
最高か。良いなー。
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原付を駐輪場に置き、インターホンを鳴らす。
僕のアパートよりもずっと高性能なこのアパートのインターホンは、中の人間の顔を見ながら話せる素晴らしい仕様になっている。つまりテレビ電話機能つきインターホンなのだけれど、果たしてそれは、呼び鈴のみの家とどれだけ防犯上で違いがあるのかは分からない。
呼び鈴と覗き穴と、少しだけ開けて会話ができる程度のチェーンがあればこと足りる気がする。ここに住む人の大半は選ぶ際にそれが決め手になったわけではないだろうし、あれば便利くらいのものなのだろうか。しかしまあ、世間が必要だと感じて作られたものだろうし、僕が何を思ったところで、必要性はあるのだろう。
ほどなくして、少し憂いのある女性の顔が画面に映った
「ああ、今、行く」
僕の顔を見るなりそう言い、すぐに映像は切られた。
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真っ黒な髪に真っ黒な目、色白な肌。身長は僕より十五センチ程低く、体重は分からないが平均よりは低い。声は低く、たまに何を言ってるか分からない。これは二つの意味で、上手く聞き取れない時と、僕の理解が及ばないことを独り言のようにいう時とがある。
見た目に関して言葉で言えば一般的な日本人のそれだが、大学時代には女生徒は強制参加のミスコンのグランプリ、(本人曰く)仲も大して良くない同級生に勝手に応募されたアイドルで選ばれた期待の星(結局、本人の意思ではないからとアイドルにはならなかった)。
頭は大して良くないという評価で大学は終えたが、テストの勉強をしなければ点数は取れないというだけで、知力は高いと思う。
それに、豪運。そして、酒豪。
これが僕が彼女、綾瀬史乃その人の評価。
「何がしたくて、生きてるのかな?」
彼女は僕を部屋に迎え入れ、僕の分だけの冷たいコーヒーを出すと、すぐにパソコン居室にある向かい、画面を見ながら呟いた。そこは彼女のいつもの過ごす場所で、もうずっと使われているだろうその椅子からは軋む音さえ聞こえてこない。見た目もさる事ながら、機能も良いようでよっぽど良い椅子なのだろうと思う。
「しかけが、遅すぎる」
そう言った彼女が見ていたのは競馬の実況で、1レース目だと実況から分かった。
競馬の実況見ながらなぜ生きているのかを問いかけるアイドルなんていないだろうから、彼女にアイドルは無理だっただろう。
「負けた?」
「あーいや、負けてはないけど、ワイド一点。四着の馬が着てれば三単。カスだね」
負けていなければ良いんじゃないかと僕は思いつつ、コーヒーを啜る。
「ねえ、史乃」
僕が声をかけると、史乃はパソコンの画面から目を逸らさずに「何?」と応じた。
「Arkってアプリ知ってる?」
彼女は興味の無さそうに「知ってるよ、あれでしょ、出会い系もどき」と答えた。
「らしいね、出会い系みたいなやつ。暇すぎてさ、始めたんだ。でも何が目的か分からなくて。出会いが目的なのかな、やっぱり」
史乃には興味がないだろうと思って、軽い気持ちで言ったの。けれど、彼女は首だけ僕の方を見て、
「やめたほうがいいよ、きっと」
と冷たく言った。
/
その後、僕らは他愛のない会話(最近の僕の仕事ぶりや、共通の友達の近状、最近のアニメ読んだ本の話)をして、夕方にインスタントラーメンを出してもらい、二人で食べて互いの暇潰しを終えた。
史乃がArkについてやめたほうがいいと言った理由に特に深い意味はなく、ただ時間の無駄だから、との事らしい。
僕にとっては、彼女と過ごす今日みたいな時間も、Arkのようなアプリで費やす時間も、大元のところは変わらない、とは言わなかった。言う必要がないし、失礼なだけだからだ。言っても何も得るものがないと分かっているなら、言わない。言いたくなっても、だ。これは僕なりの処世術。
明日は仕事だから、自宅に着いてからはシャワーを浴びて、少しだけウィスキーを飲んで、布団に潜った。
今日は悪くない日だったと思う。
明日もきっと、変わらない。
小説002 / 六話
参加のボタンを押すと、現在の参加予定者の数と名前が表示された。
ハンドルネームはそれぞれBrooklyn、向陽、撃鉄丸、エアコン、そして僕こと三八〇の5名だ。性別は分からないけれど、名前のセンスからは全員が男性な気がした。
次に掲示板をのぞいてみる。
それぞれ、ピンごとに掲示板が設置されるらしく、三日後のこの位置の掲示板では一週間ほど前から書き込みがあった。
2019年 6月2日 15時32分
エアコン「こんばんは! 家が近いので参加してみます! 今回は何か起きるのでしょうかね? 面白い事があるといいけど」
2019年 6月2日 17時35分
撃鉄丸「初めて参加します。撃鉄丸です。まとめブログから来ました。こうゆうネットのイベント参加した事がないので、一応参加ボタン押したけど、参加しないかも
気が向いたら行ってみます」
2019年 6月4日 21時10分
向陽「俺、一ヶ月くらい前に少し離れたところに行ってみたけどなんもおこらなかったな。このアプリ、話題にはなってるけど、ネタなのかもね、まあまた行ってみるけど」
2019年 6月4日 23時56分
エアコン「@向陽 私も三回くらい参加したけどなにも起きなかった……だからこの前は参加者でファミレス行ってご飯食べてきました。もしかしたら出会い系的な使い方なのかもね、これ」
2019年 6月7日 16時3分
向陽「ニュースサイトで知ったんだけど、このアプリのピン位置で爆発事故があったらしいね。なんでも、ドラム缶が爆発したんだって。
誰かが事前に用意して爆発させたのかな。やっぱネタアプリ? ってか、みなさん、危ないことはしないように」
2019年 6月8日 21時32分
エアコン「ですね。集まった人が何か起こすのが趣旨なのかな? まあ、目的も説明もないから分かんないですよね、まあ盛り上がっているうちは楽しむかな〜」
Brooklynという人からの書き込みは無く、撃鉄丸からの書き込みもそれ以降は見られない。
僕も一応、参加の表明をしておこうと思い、書き込む。
2019年 6月9日 15時00分
三八〇「初めて参加します、三八〇です、仕事帰りに寄ってみるつもりです、よろしくお願いします」
それだけ書いて、投稿する。
前の投稿を見る限り、この投稿に対しレスは付かなそうだけれど、実際に顔を合わせる前に一言あったほうが話しやすい気がする。まあ、本当に行くかどうかはまだ決めかねているのだが。
小説002 / 五話
あくまでぼくは一般的な会社の勤め人なので、お金にならない事だけに時間を割くなんてできない。
だけれど、あくまで一般的な勤め人らしく、暇な時間も作れたりするし、言ってしまえば何かアクションを起こそうとしない限り予定は埋まらない。
何もない休日がやってきた。
特にすることも無いので、溜まった洗濯物を洗った後、昼食をとりつつArkを起動する。
GPSの使用許可を求められた以外には自分の情報を求められる事も特になかった。
ニックネームだけは必要で、深く考えず年収を漢数字にし、三八〇と入力すると
「thank you My Friend . Welcome New World!」
と表示され、なんだかよくわからないが歓迎してくれているようだ。
次に、ぼくの携帯の位置情報を中心として、三十キロ圏内のマップが表示された。
マップ上には何個か黄色いピンが刺さっていて、右上のメニューマークをタッチすると自分の情報、書き込み履歴、地名の検索、設定の変更と表示されるようだ。使い方の説明は、探しても見当たらない。
仕方がないので、適当に使ってみる事にした。
取り敢えず現在地から一番近い黄色いピンをタッチすると、そのピンから吹き出し口が表示され、住所と日付と時刻が表示された。他にも参加の有無の選択、掲示板への書き込みが出来るようだ。
日付は三日後で、時刻も仕事帰りに駅から歩いて寄れる位置にあるけれど、なにが起こるかも分からないのに参加を表明できない……とは思っても、どうせニックネームしか登録していないのだし、ぼく個人として誰かの評価を下げる事もないだろう。
参加する事にしておいて、気が向いたら行けばいい。
ぼくはそう軽く考え、参加のボタンを押した。