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家賃3.8万円

死ぬまで、やります

僕は泥棒 下

レースに勝ち、ゴスロリ少女とのデートの約束も取り付けることができたけれど、何故か僕は筋肉マッチョの男と身長が二メートルは越えているだろう木の枝みたいな女とゲームに興じていた。

 

なんて事はない。

騙されたわけではなく、純粋に僕の友達である。

 

ちなみにゴスロリ少女とのデートは明日。

話したがりな性格をしている僕は、事情を二人に伝えたがどちらも興味もないようだった。

 

僕がゲームの世界で命を失いはじき出された頃、筋肉マッチョは言った。

 

「最近、周りは結婚ブームだよな」

 

僕の周りと筋肉マッチョの交友関係はそこまで重なっていないので、僕の周りはそうでもないのだけれど話の腰を折るのも嫌なので頷いてみせる。

 

「で、聞いた話なんだけどさ。なんでも最近は心音が抜かれる、なんていう都市伝説が流行ってるんだと」

 

「心音? 殺されるって事?」

 

「いや、心臓の音が無くなるらしい。あー、死ぬわけじゃないらしい。なんだかよく分からないが、だから都市伝説なんだろ」

 

確かに心を奪われるという表現はどんな所でも見かけるし、そういう意味ではなんだか繋がっているような気もするが……。

 

というか、結婚ブームという話から心音が抜かれるという都市伝説に話がつながったのだろうか。

 

気になったけれど、それ以上は筋肉マッチョがこの話を続けることはなかった。

 

木の枝みたいな女の今にも折れそうな細い指でゲーム機のボタンを勢いよく弾いている音が響く部屋の中で、手持ち無沙汰な僕はいつの間にか眠りについていた。