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家賃3.8万円

死ぬまで、やります

僕は泥棒 上

人のものを盗んでいけないと、教えられて育ってきた。

どうして人のもの盗んではいけないのか、という理由も一緒に学び、考えたはずだけれども、その時に僕が出した答えという物をどうしても思い出せないでいる。

 

今、その答えを出せと言われれば、僕はもう決まりきっている価値観を分かりやすく答えにするために少しの時間をもらってこう答えるだろう。

 

「人のものはその人の時間の産物であり、ものを盗んで盗むという事は、その人の時間を無価値にしてしまうから」

 

言い換えれば、誰かのものを盗んでもその対価の時間さえ支払えば、それは許される行為となる。

 

あくまで僕の考え方であり、ものを盗めば犯罪だし、この理論でいけば時間さえあればどんなものでも手に入るという事になる。

 

けれど、手に入れたいものにかける時間というのは、平等ではない。

 

だから、盗むのだ。

 

 

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新潟競馬場に着いた頃にはそれまで叩きつけるように振っていた雨も止んでいて、馬が走る姿を見に来るくらいなら公園にでも行ったほうが健康的な休日を送れるのではないかとも思えた。

 

けれどまあ、今さら馬券じゃなく芝の上を走り回る子供達の手を握りしめたいかと問われればそんなことはなく、そもそも僕が子供の手を握りしめるなんて犯罪でしかない。

 

などと、つまらない連想と同時進行で競馬の予想を立てる。

どれだけ少ない賭け金で利益を出せるか、というのが、今日の目標である以上は無駄なレースはするべきではないが、目の前で馬たちが歩いている姿を食い入るように見てしまうのは、競馬が好きだからかギャンブル依存症だからか。

 

競馬というのは不思議なもので、馬券を買ってレースが始まるまでは謎の当たって当然だという確信がある。

 

僕は当初するつもりはなかったレースだが、確実に当たると信じて単勝四番人気の馬に資金の半分を複勝で賭けた。